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【喜緒】
「仮装なんて、小学校の学芸会以来ですよ」
【両国】
「学芸会というと、白雪姫とか、シンデレラとか?」
【喜緒】
「そんなところです。僕はもっぱら、兵士その1、とかでしたけど」
【両国】
「なんてもったいない! 今回の衣装はどうせ浅葱が用意するんだし、思い切りかわいいのを着せてあげたいね」
【喜緒】
「かわいいのなんて、似合わないですよ!」
【両国】
「そんなことはないさ。例えば……」
なんだか楽しそうにニヤニヤしながら、両国先生が雑誌を手に取る。
表紙以外は見せようとしないから、内容は簡単に想像がつく。
絶対に、いかがわしい写真が載っているページを見ているはずだ。
【両国】
「こういうのもいいねえ」
【喜緒】
「どういうのですか?」
一体何をさせるつもりなのかと、手元を覗き込もうとした瞬間。
【両国】
「秘密♪」
楽しそうに笑って、ひょいっと立ち上がってしまう。
【喜緒】
「秘密って、先生、何を考えてるんですか?」
怪しい。怪しすぎる。
慌てて立ち上がろうとした僕の頭を、先生が片手で押さえる。
【両国】
「いや、いいねえ。絶対似合う。おおっ! こっちもいいな」
【喜緒】
「ちょっと先生。見せてください」
【両国】
「ふむ。こっちも捨てがたい」
【喜緒】
「僕が着るんですから、僕に決める権利があるはずです」
【両国】
「ほほう。これは、モデルの彼女がよくないな。喜緒が着た方がよほどいい」
【喜緒】
「何言ってるんですか! 僕は女装なんてしませんよ」
【両国】
「うーむ。禁じられた関係、背徳の香りのシチュエーションも捨てがたい」
なんだかおかしなことになってきた。
だけど、こうやって先生が僕のそばで笑っていてくれるのは、とても嬉しいから、すねて見せつつ、僕は幸せな気分を味わっていた。
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