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思わずすがりついた白衣は、かすかにタバコの匂いがした。
両国先生の愛用のタバコの匂いと先生自身の匂いに包まれていると、ドキドキと勝手に鼓動が高鳴っていく。
薬の効果を確かめるように僕の顔を注視する両国先生の視線から逃れたくて、僕は、両国先生の胸に顔をうずめた。
それでも、項の辺りに視線を感じる。
ただ観察されているのは嫌だ。
そう思うのに、身体は勝手に熱くなっていく。
ギュッと白衣を握り締めた。
お願い、先生。そんなに見ないで。

【両国】
……ふぅ。もう限界だ。これ以上、化学者面をしている余裕なんてない

その時、頭の上で、両国先生が大きく息を吐いて、苦笑交じりに呟くのが聞こえた。
ゆっくりと眼鏡を外して、窓枠に置くのを、僕は横目で、魅入られたように見ていた。

【喜緒】
「えっ? あっ……」

一瞬、自分の身に何が起こったのか、わからなかった。

【喜緒】
まさか……先生も?

【両国】
「当たり前だ」

僕だけじゃなくて、先生自身も同じ薬を飲んでいるんだと思うと、少しだけほっとした。

【両国】
「このまま朝までだ」

引きちぎられそうな勢いでシャツのボタンを外される。
布が肌を擦る感覚にゾクリと身体が震えた。

【喜緒】
「んっ……先生、待って……」

【両国】
「待てるか」

俺のベルトを片手で外しながら、反対の手で白衣のボタンを外していく。
荒々しい獣のような息遣いに先生の前髪が揺れる。
その前髪の奥の瞳は、そんな時でも、冷静な化学者の目をしているようで、手足の先が冷たくなる。

【喜緒】
「んっ……んんっ」

その冷たさは、舌と舌を絡める情熱的なキスにも消えそうになかった。